死臭漂う荒野に一人のお爺さんが立っていました。

お爺さんはしわだらけの顔をさらにしわくちゃにして泣いていました。

とても、とても悲しそうに。


「何で・・・、こうなったのだろう・・・?」

お爺さんは泣いています。

「何が・・・、いけなかったのだろう・・・?」

お爺さんは泣き続けます。

「何を・・・、望んでいたのだろう・・・?」

お爺さんはただひたすらに。


やがて泣き疲れたお爺さんは、手に持っていた血まみれの刀の刃先を自分の胸に向けました。

そして――――――





その光景は無残なものでした。

怒声と悲鳴が混じり合うその場所は地獄のようでした。

いつしか

「殺さなければ殺される

皆殺しにしなければ、自分は死んでしまう」

という根も葉もない根拠が村人たちを支配していました。

その根拠は村人たちに

「眼に映るものすべてを殺せ」

という命令を出していました。

根拠は村人たちに残った僅かな理性を摘み取っていきました。

村人たちはもうなぜ殺し合っているのかわかりません。

なにも考えられません。

ただそれをやらなければいけないという事だけが頭に残っていました。











弱いものから順に


・・・・・・セ



敵味方関係なく


・・・ロセ



家族だろうが親友だろうが切り刻んで


コロセ



泣き叫ぼうが命乞いをしようが構わず


コロセ






すべてのお爺さんたちがもう声を出すのがやっとになっていました。

気力も体力もほぼ限界でした。

そんな状態だったからでしょうか。

ぽつりとこんな声が聞こえました。

とても弱々しく風に消されそうな、そんな声でした。

その声には人間を壊してしまう、悪魔の言葉が混じっていました。

それは何があっても決して言ってはならない、言葉でした。



















「向こうの村人が・・・























みんな消えれば・・・、死ねばいいんだ・・・・・・・。」











この村ではほぼ毎日すべてのお爺さんが山へ芝刈りに行きます。

そのため、ある問題が出てきてしまいました。

村のすべてのお爺さんが芝刈りをしているため、刈る芝がなくなってきたのです。

大問題でした。

山は地面がむき出しになり、村のすべてのお爺さんが職を失ってしまいました。

この際、芝刈りでどうやって生計を立てているのかは無視します。

仕方なくお爺さんたちは隣村との境にある山まで行くことにしました。

山に着いたとき、そこには隣村のお爺さんたちが集まっていました。

そうです、この問題を抱えていたのは隣村も同様だったのです。

両村のお爺さんたちは当然「うちの村のものだ」と主張します。

しかし山は村と村のほぼ中央にあり、どちらの村の土地にも同じくらい属していました。

どちらも互いに譲らないまま2日が過ぎていました――――――




むかし、むかしあるところにお爺さんとお婆さんしかいない村がありました。

人口の100%が65歳以上のお年寄りです。

なのに介護を必要とする人は一人もおらず、みんなとても元気に暮らしていました。

村人同士も仲が良く、それはそれは平和な村でした。





しかしその平穏もある出来事を境にすべて無くなってしまいました――――――